当たり前の話だけれど 僕が生まれるずっと前から
この街は存在していて 生きているはずなのだけど
歴史の上を踏み固めて いまいち実感がないな
当たり前の話だけれど
巡る命の一部として 息をしている現世
酸素が消え去る前に 思い出すんだ 母の温もり
産声あげた輪廻 産褥期(さんじょくき)への敬礼
投げ出したくなる前に 歩き出すんだ 歩き出すんだ
当たり前の話だけれど 時間が止まることはなくて
それは進化それとも劣化 どちらにも捉えられるけど
日に日に増える尊敬の念 歴史の一部になる覚悟
当たり前の話だけれど
這いずる人生の中で 自分自身さえ不透明で
折れかけた添木の前で 思い出すんだ 父の背中
荒野を踏み締め歩く 先に灯る幻影に
手を伸ばしても届かない だから進む 前に進む
止まることのない 列車から 1人また1人と 降りて行き
1人になり 自分との会話 そんな世界に 君が乗り込んで
行き先は不明 車窓に酩酊 未定の予定 幸福を想定
いつ止まるか 誰が降りるのか 降りないでくれ そう願いながら
一時停車海岸沿いの駅
手にした真珠握りしめ
一切衆生(いっさいしょじょう)に意味はなくて 目の前で精一杯
それでも生きて行くんだ 悲しむ顔は 見たくないな
理由はそれで十分で 不幸には慣れなくて
だから
どうか続いておくれ 歩みは止めず 進み続ける
当たり前の話だけれど 僕が生まれるずっと前に
交わった 人生もあって