来世への手紙

東京離島が穴場だと テレビでやっているよ これから先は 混んじゃうかもね
僕らだけの秘密だった ほら君と入った 露天温泉だ 写真撮ったね

来年も来ようねなんて 無邪気に話していた もうすぐ一年経つよ 早く予定立てようよ

なんてね 縋ってる 君の 面影に
いつかね 終わってた 君との 未来に
だけどね これだけは 嘘ではないんだよ
本当に愛していた 前に踏み出せないほど


君との写真が消え去った 携帯の容量は 軽くなったけど 入れるものもないな
一人旅が好きな 独身の写真フォルダ こんな笑顔を 撮ってくれたのは誰だっけ

なんてね 溢れてる 思い出が街に
息がね できないよ 胸が苦しくて
すぐにね 逃げたいよ でもあてがあるのは
君と旅をした 場所しか残っていない

過去に縋って生きる ことにも疲れてさ 胸の隙間を 埋めようとしてみても
思い出が薄まるのも 怖くて踏み出せないよ これは愛情か それとも異常なのか

海がね 怖かった 吸い込まれそうで
君はね 無理やりに 僕の手をひっぱた
東京の 離島には 思い出が眠ってる
僕のね 体には 塩の香りが棲みついて
流しても 落とせない 落とせない 落としたくない
死ぬまで このまま このまま そのまま
そんなこと 出来ないと 分かってる 分かってる
だけど一歩進む その日までは 残していて

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